だから、「今日」が美しくみえてくる
Today Is A Beautiful Day(初回生産限定盤)
- アーティスト: supercell
- 出版社/メーカー: SMR
- 発売日: 2011/03/16
- メディア: CD
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supercell(スーパーセル)は、コンポーザーryoを中心にイラストレーターやデザイナーが集った11人(現在)のクリエイター集団である。
現在supercell名義で発表する楽曲のボーカルはnagiだが、
もともとは音声合成ソフトVOCALOIDの「初音ミク」を用いた楽曲およびそのPVなどの関連作品を発表していて、特に「メルト」という曲はニコニコ動画で500万再生を超える爆発的なヒットを記録し、渋谷センター街で一日中再生されていることがあったほど有名な曲。同曲が入ったメジャーアルバム「supercell」は週間チャート4位を記録した。
無料でネットで聴けるのにも関わらずこのアルバムがヒットを記録したことにより、この後も「初音ミク」やVOCALOID作品が発売され常に一定のヒットをするようになる。
このCD不況の中、一定のファン層を持ち売り続けられるこのコンテンツが持つ力は尋常ではない。
そういった状況を作り出したsupercell等のVOCALOIDクリエイターをはじめとする動画出身アーティストはある意味現在の音楽産業を支える一端となっている。
まあ今はそのへんの話は置いといて、
彼らの主流な曲は、ピアノ・キーボード音源を中心とした青春の甘酸っぱさを楽曲内に内包したタイプのものだ。
特にシングルとして発売された
M2,9,12はポップなハイスピードさを備えている。
また、ボーカルは非常に伸びやかで、大体曲のラストにくる大サビでのボーカルの伸びは素晴らしい。
さらにsupercellというクリエイター集団にイラストレーターが含まれているように、イラストレーションにも非常に定評がある。今回のアルバムにも楽曲ごとのイラストが存在し、聴覚的だけではなく視覚的にも楽しませてくれる。
単なる「楽曲」を発表するアーティストではなく、「総合的なエンターテインメント」を提供する集団だといえるだろう。
今作には、
「君の知らない物語」アニメ「化物語」EDテーマ、「LOVE & ROLL」アニメ映画「cencoroll-センコロール」主題歌、「うたかた花火」アニメ「NARUTO-ナルト-疾風伝」EDテーマ、「星が瞬くこんな夜に」PCゲーム「魔法使いの夜」EDテーマ
などなど様々なタイアップが収録されている。
特に
2.「君の知らない物語」は秀逸。
ピアノとバンドサウンドの絡みが美しいアップテンポな楽曲だが、
楽曲の「物語」が完璧につくられていて、むしろそちらの魅力が非常に大きい。
ラストのサビ前からラストサビへと向かう盛り上げ方も非常にドラマチック。
映画などで物語が大円団に向かうときのような盛り上げ方が、こちらの心情も高ぶらせる。
ちなみに私的2009年度楽曲ランキングで5位(1230曲中)にしました。
視聴はこちらから↓
http://www.youtube.com/watch?v=IgObuO3mrT8
3.
「ヒーロー」は、まさに2よりもロック調を強めたドラマ歌。
1番は自分の容姿へのコンプレックスを切実に歌い上げ(中学イケてない芸人的な)、しかし2番からは世界が変わり始める。
そして前曲と同様にエンディングに向かって走り出していく。
この爽快感がたまらない。
視聴はコチラから↓
http://www.youtube.com/watch?v=pfjlAbomBsk
4.はアルバムオリジナル曲で、PVが作られた曲。
ある意味アルバムを代表する曲だろう。
はじまりはアコギで静かな立ち上がりだが、サビは力強くバンドサウンドを響かせる。壮大な空を思わせるような「ゆったり」感を持ったもの。
視聴は↓からどうぞ
http://www.youtube.com/watch?v=7Ezs8kW0CQg
12.
「さよならメモリーズ」は
自分の内にある「想い」を伝える曲。そしていわゆる卒業式シーズンの曲だ。
まあ2,3と似たよーな感じになっている感は否めないが、
ラストの
ためて、ためて、ためて放つ、
<君の事ずっと ずっと 前から 好きでした>という叫びと
<あぁ やっと言えた>というホッとつぶやく部分にはグッとくるものがある。
↓視聴はここから
http://www.youtube.com/watch?v=gKdImg2ob0k
上記の曲以外にも、ジャズっぽさをイメージした楽曲やデジタルさを取り入れた楽曲など様々なタイプのものが並んでいる。
アルバムの楽曲全てが「思い出」のようなつくり(箱庭的・物語的楽曲)になっており、
「これらの思い出・記憶があるから今日が美しく思えるんだろう」というまとめられ方になっているように思える。
それは、
1曲目の<歩みを止めて 耳を傾けて この記憶に見覚えがあるでしょう?>という
部分や、ラストの曲の<私は知っているから 自分の物語を>という部分にも垣間見える。
楽曲の「思い出」と聴く者の「思い出」が重なったときにこのアルバムはとてつもない威力を発揮するのだろう。
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1. 終わりに向かう始まりの歌
2. 君の知らない物語
3. ヒーロー
4. Perfect Day
5. 復讐
6. ロックンロールなんですの
7. LOVE & ROLL
8. Feel so good
9. 星が瞬くこんな夜に
10. うたかた花火
11. 夜が明けるよ
12. さよならメモリーズ
13. 私へ