生命への”鎮魂歌”
- アーティスト: tacica
- 出版社/メーカー: SME
- 発売日: 2011/04/27
- メディア: CD
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tacicaの3rdアルバム。ついに来た。
いや、こちら側に近づいてきてくれたというべきか。
それは、アルバムの前に発売されたシングル「命の更新」からも感じられた。
tacicaにしては非常にわかりやすい。奥深さはそのままに、私達のレベルまで表現を「下ろして」くれたような歌詞にはいやはや驚嘆に尽きる。
ちなみに前回のレビューはこんな感じです。
http://d.hatena.ne.jp/chairmanzx/20101130/1291138675
前作は、自分の思考力不足もあり、正直ほとんど歌詞世界を理解できなかった。
それほどまでに前作は比喩的・芸術的だったということだ。
今作は今までに比べて、かなり理解しやすさは上がっている。
(それでも半分は厳しいくらいだが…)
私がこのアルバムからひしひしと読み取ったのは”生命への鎮魂歌”だ。
生命への賛美や「生きてることって素晴らしい!」なんていう曲は数多い。
「ガンバレ!」なんて簡単に吐くポップスはいくらでもある。
だが、このアルバムが私達に提示するのはそういう類のものではない。
汚れても諦めても、其処に在る「生命」。生き続ける生命。
それら全てを噛み締めて歌になっている。決して光が見える形で終わる歌ばかりではない(歌詞だけ見れば、行き止まりのような)。
だが、それは歩み続ける生命への歌。生き続けた生命への鎮魂歌だ。
だからこそ彼らの歌詞は、噛み締めるたびに新たな味が出て、私達に発見をもたらしてくれるのだろう。
何度聴いても「わからない」こともあるが、新たに「わかる」こともある。
だが、一番→二番→大サビの型にはまった似たような楽曲がまだ割合として多いような気がするのも事実。
後述のいくつかの曲では、面白いアレンジや展開があるが、まだまだイケルだろう。
相変わらずのベースの心地よさはそのままで、どの曲でもよく聴こえている。
更なる成長を期待させる、一枚となった。
現在のオススメ曲は
1,2,3,5,7,8
特に序盤の流れは素晴らしい。
オープニングの1.「ドラマチック生命体」は、壮大なナンバーに仕上がっている。
立ち上がりは非常に静かにはじまる。やはりベースがけっこう目立つので心地よい。
そこからサビへの突き上げが素晴らしい。
<あてにならないヒント探して 生きる術と勘違いしている>
や
<誰を演じたいんだろう>
など、
「生きる」を悩む人間を克明に映し出し、
ラストの詞では
<隠れても見つけ出されて続くさ>
<では誰でもない 他に居場所はない自分と>
のように、
逃げようのない自分という生命を受け入れて前へ進もうという意志の見える力強い改作だ。
ドラマチック生命体(ラジオ音源)は
コチラ↓
http://www.youtube.com/watch?v=qVKHVPYdWVM
2.「不死身の歌」は進化を感じさせる一曲となっている。
まず、一番と二番で歌詞は対比されている。
ほぼ真逆のことを述べるという手法はよくあることだが、
この曲ではさらに音楽も対比構造をとる。
一番はスローで、二番は一気にハイテンポになる。
ここまで顕著な変化のさせ方をする曲はコレまでの彼らには無かった。
明らかな進化だろう。
<どこまでも付いて行くつもりだったけど そこまでは行けなかった歌>
<どこまでも行きたかった歌>
というのは、不死身の”僕”は、不死身でない”君”とともに天国へいけないということなのだろうか?
うーん難しい。
3.「命の更新」はtacicaらしさ満載の、超オススメ曲だ。
まず、音楽はアップテンポで勢いがある感じ。
そしてやはり歌詞が最高。
<夢は嫌いです>
<ありとあらゆる悪を嫌うと なぜか自分の事も嫌いになった日>
皮肉的に自分を描く歌詞と、
<僕以外に僕はいないと 言えず終わる日々や僕が嫌いです>
<君の場所で君がいないと いつも自由の下で 命が哭いている>
そして最終的にはかすかな光が見えて終わる歌詞。
(まあ光が見えているかは微妙だが)
ここに音楽が加わって楽曲が完成する。
命の更新のPVはこちら↓ やばいです
http://www.youtube.com/watch?v=TQAYUDd2-r0
7.アリゲーターはコチラから
http://www.youtube.com/watch?v=XSSITdewR0E
↑この曲もオススメだ。私的昨年の曲ベスト50にも入れた素晴らしい曲でした。
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1. ドラマチック生命体
2. 不死身のうた
3. 命の更新
4. JADITE
5. ハイライト
6. その日、一日。
7. アリゲーター
8. 掟と礎
9. 永久列車
10. モナルカ
11. 私服の罪人