サイバラリエコ(小泉今日子)は、主婦にして漫画家。毎日息子ブンジと娘フミを保育園に送り届け、漫画を描き、そんな中でも子供達のどたばたに巻き込まれるあわただしい生活を送っていた。
ある日、アルコール依存症で入院中の夫のカモシダが勝手に退院してきてしまう。最初は大人しくしていたものの、次第に酒の量が多くなり、妄想がひどくなるカモシダ。サイバラはとうとう彼に離婚届を渡すのだが…。
観賞日
2011年2月17日
【75点】
家族愛のかたまり。それがこの映画の根本であり、全てだ。そこに心が動くかどうかで全く今作の印象は違うだろう。
心が動かなければ、全く感じることの出来ない作品だろうし。
自分は意外にもけっこう涙腺危なかった気。
家族の大切さ・母の強さをふわりと感じられる。
そう考えると、原作のよさを生かせた作品なのではないだろうか。
そしてマンガやアニメの「毎日かあさん」から伺える、ブラックジョークも冴え渡る。
子供達が時々核心を突いたツッコミや台詞を言うのだが、これがまあ微笑ましいんだが非常に面白い。
これが今作を単なるハートウォーミングもので終わらないのは、ところどころでブラックジョークが話を締めているからで、ともすれば冗長的になりそうな家族物語を場面場面で笑いで区切らせる。
ここが今作のキモだったかもしれない。
こまやかな配慮が感動を誘う。
玄関に並べられた靴を撮影する鴨志田の姿に最も感動した。普段はなんともない靴であるが、その何でもない風景は自分が家族の一員であった証。
そして鴨志田が終盤に撮っていた写真はエンディングで使用される。
これがまた憎い演出だ。またここで流れるセピア色の写真に収められた家族の表情は、映画のシーンで観たものと全く違うものにみえる。
それは第三者視点から見る映画のシーンと違ってカメラは一人称視点からとの違いにもよるし、被写体がこちらを向いているからこそ感じる親近感があるからという理由にも依るだろう。
要は、私たちが彼ら家族と一体化する、「近付く」ことだ。
それもこれもやはり西原一家の自然な「一家」らしさが光った結果だろう。撮影前から子供たちとコミュニケーションを密にとっていた成果なのかもしれない。
子供たちの演技も、他の映画のようなわざとらしい演技とは違って自然だった。
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