少年少女/中村中

枠組みを超えた存在

少年少女

少年少女



中村中は、性同一性障害で、戸籍上の性別は男性だが、精神は女性。 2006年からは舞台の活動もしている。


ライブで1回見たことあるけど、パッと一目見ただけでは正直女性です。あとMCがめっちゃ面白かった(笑)









特徴は歌声と歌詞。

歌声は、ハイトーンで音域が非常に広い。

さらに男性的・女性的歌い方を歌によって使い分けることで、
全く違う曲調にも対応している。

力強い歌い方、柔らかな歌い方、どこか呟くような歌い方、絞り上げるように歌い上げる歌い方。

ライブだと劇をみているかのような感情の入れ方で歌ってました。
何かが乗り移っているかのような凄まじさに、正直圧倒されました。



歌詞は、毒を吐くようなものだったり、強烈なモノが多い。ていうかアルバム初めて聴いて衝撃受けました。

たしかに中毒性がある。一度聴いてしまったらある意味トラウマに(笑)













今作は、4枚目のアルバム。
今までスルーしててスイマセンでしたって言いたくなる位、完全に傑作です。

ピアノ中心のゆったりした曲が多いのかなーというのが
中村中の印象だったが、
全く違うとはっきりした。


ジャズやフュージョン、ロックが見事に融合したような楽曲。
どの曲も被っていないくらい多彩だ。





そして激しくストーリー性を持つ楽曲に込められた、人間の葛藤。

彼女が作る曲は、
綺麗ごとが並びたてられる世の中に対して必要な「毒」であり、「薬」だと思う。
生々しい「生きる」ということに対しては綺麗ごとだけではやっていけないという良い例だ。

きっと生きていれば、彼女の曲の中で必ず一曲は共感できる。そう言い切れるくらいの大物感がある。









オススメ曲は
1,2,6,7,8










1.
9thシングル曲。
ミディアムナンバーで、なかなかドラムが強めの印象。けっこうロックかな?
この曲で大分印象が変わりました。


家出する理由は、よくある親とのケンカではなくて、
自分の生きている意味を感じたいという少女の思いが行動になったというもの。

決意や不安といった思いが渦巻く様子をひしひしと感じ取ることが出来る名曲。

ここから聴いてみて。






2.
ジャズっぽさ満載の曲。
都会の町の冷たさを表現。

なんか昭和臭い気もするが、それがまた新しいというかなんというか。





6は
ミディアムテンポなロックナンバー。

自分を偽り続けるという生き方に対して疑問を抱きながらも、生きることを諦められないという葛藤。

今回のアルバムの中でも共感されやすい作品だ。




7.
なんと、けっこう速いテンポのナンバー。

なつかしい歌謡曲っぽいロック。特にサビの歌謡曲っぽさは秀逸。
一度聴いたら覚えてしまうこと間違いなし。






8.
衝撃の大作。コレがアルバムでは一番だと思う。


始まりは、戦時中の状況のような歌詞。
(<悪い俺は両目をやられた><このまま死のうと言えなかっただけ>など)
重々しいサウンドと歌声が身に染みる…


と思ったらゆるやかに転調し、
舞台は現代の学校へ。

そこではある意味現代の戦争、いじめが行われている状況だ。
その状況を、彼女は滑らかで優しい声で歌う。
内容はかなりドス黒いわけだが。



緩やかに終わるのかと思ったら再び転調。
今度はかなり音を歪ませたギターで、超重々しいサウンド
再び舞台は戦時中へ。



最後には卒業式のピアノ音楽にも似たピアノで、
現代の卒業式へ。

最後は行進曲のようなフィナーレ。







ーーーーーーーー

1. 家出少女

2. ここは、風の街

3. 独白

4. 初恋

5. 秘密

6. 人間失格

7. 旅人だもの

8. 戦争を知らない僕らの戦争
9. 青春でした。

10. とまだちになりたい

11. 不良少年