2015年映画ベスト10 詳細

※後々、ベスト20詳細になる予定です※


10位「バクマン。


○さすが「モテキ」の劇場版を作り上げた大根仁監督。これが漫画原作の実写化の正解だと進撃を見たあとで改めて思う。尺の都合でストーリーを大幅に削らざるを得ない部分はあったものの、美術面の細かなディテールからダイナミズムまでとにかくコンテンツ愛に溢れている作品。

○特にエンドロール!「モテキ」のエンドロールも最高だったが今回はもっとす凄い。是非次回作をつくってほしい。





9位「クリード チャンプを継ぐ男


○ロッキーシリーズの続編で、しかも今回はかつての好敵手アポロ・クリードの息子をロッキーがコーチするという超胸熱な展開。あくまでロッキーではなく、クリードがタイトルということできちんとクリードを丁寧に描いているのも好印象。

クリードを演じるマイケル・B・ジョーダンは『クロニクル』『フルートベール駅で』でも印象的だったが、今作はよりキレがあった。だがやはり今作のMVPはスタローンでしょう。イーストウッドを彷彿とさせる、いわゆる『枯れ』演技が見事。まさかロッキーで泣きそうになるとは…

○あとは試合シーンがやっぱりアツい。もうこれだけで手に汗握り、高ぶれる。正直ロッキーはファイナルを片手間で観たことがあるくらいだったので、概要しか知らなかったがそれでも全然問題なく楽しめる。むしろそういう世代に見てほしい映画。




8位「アリスのままで


○若年性アルツハイマーという重たいテーマながら、ある種の爽やかさも併せ持っている作品でした。ストーリーとしても前半をきちんと汲んで後半につながっていた。後半は、色々な方向性の感動・哀しさがあり、思わず眼が潤んだ。観賞後は「良い映画」を観たな〜と充足感につつまれる。

○何と言ってもアカデミー賞をついに獲得した主演のジュリアンムーアが完璧。表情、仕草どれをとってもそりゃこの人が主演女優賞じゃなきゃおかしい。

○リチャード・グラッツァー監督はALS(筋萎縮性側索硬化症)という、若年性アルツハイマーと同じ治療法の無い難病に侵されながらも今作を完成させた。その事実を知るとなんだか余計に感動的。しかもアカデミー主演女優賞をとった数週間後の3/10に亡くなったというもまた…




7位「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」


アカデミー賞作品、脚本、撮影、監督賞受賞作の今作は、チャレンジングな快作。一般受けはちょっと難しそうだけど…

○まずこの作品の最も素晴らしい点はめまぐるしく、ワンカットで撮ったのではないかと思わせるカメラワーク。さすが、ゼログラビティでもこちらを驚愕させた撮影監督。もうこのカメラワークだけで他の映画を圧倒できる。

○かつてバードマンというヒーロー作で一世を風靡した主人公が、NYの演劇で再起を図るというストーリー。かつてティム・バートン版のバットマンを演じていたマイケルキートンがその役を演じることで、主人公と重なってくる。ストーリーはこちらに委ねる部分が多いだけに賛否は別れるかと思う。個人的にはこういうストーリーは好き。やたらとアメコミ引用があったり、アメリカンブラックジョークが多いのも◎。

○さらに特筆すべきは殆どがドラムソロのみで構成されるBGM。絶妙なタイミングでこちらの心臓をも昂らせるリズムを刻む。かなり大袈裟な表現だが事実なのだからしょうがない。




6位「恋人たち」


○「ぐるりのこと。」で高名な橋口亮輔監督の7年ぶりの長編作品。正直、「凄く明るい!」とか「ザッツエンターテインメント!」みたいな作品ではないが、リアルさと重圧、そして希望に圧倒される。これは、今、生きている人達の物語。

○ザ・日本映画といった作品で、観ている側にもガンガン訴えてくる。メインキャストは新人ということで下手なフィルタもなく、まるでノンフィクションを観ているかのよう。ただし画面には必ず意図があって、特にラストの絵面には脱帽です。

○この映画は自分の好きな、絶望とひとさじの希望という部分に、どストライクでした。この手の作品だから救えるものがある、としみじみと再認識。




5位「ガールズ&パンツァー 劇場版」


○テレビシリーズをあまり真面目に見ていなかった身だが、昨年のOVA上映で、劇場の音響と戦車戦が尋常じゃなく相性が良いことが分かり、今回鑑賞に至った。まずは、TOHOシネマズ日本橋の音響の良いスクリーンだったのでズンズン心地よく音が響いた。

○今年の脳内ランキングを変えてくれる可能性がある作品として期待していたが、その期待に違わぬアドレナリン出まくる、マッドマックスライクな作品だった。ストーリーの流れもなんだかマッドマックスのように思えるんだが、とにかくほとんどの尺を占める戦車戦が見事。ラスト付近の「ある」演出には鳥肌、はっきり言って完敗です。

○テレビシリーズを見て少しでも面白いと思ったなら観ない手は無い。というか見逃してはならない圧倒的な作品。娯楽作品とは何かという手本のよう。

"ガルパンはいいぞ"




4位「博士と彼女のセオリー


○そりゃあこんな演技をやられたらエディ・レッドメインがアカデミー主演男優とるわ、と言わざるを得ない。ALSに侵され、段々と体の自由がきかなくなった天才博士の物語。題材が題材なので敬遠される方もいるかと思うが、ラブストーリーメインなのでそんなに小難しい映画ではないです。

○なんといっても主演のエディレッドメインが凄すぎてぐうの音も出ない。症状の段階にあわせた演技、観てください。
だが、この映画の本質は演技だけではない。

ホーキング博士の妻、ジェーンの生き方もこの映画の見処だ。単なるお涙ちょうだいの献身的な介護ではなく、そのなかでも端々にみえる独立した一人の女性としての生きざま。ホーキング博士とジェーンの絆にも、彼らの単なる夫婦ではない深さが垣間見える。








3位「セッション」


○とんでもない作品。取り敢えず楽器やってた方には少なくとも観てほしい。というか部活とかやってた人とか、鬼気迫る思いで芸術に打ち込む人とかにも観てほしい。『響けユーフォニアム』を好きになりそうな人とか。いや、とにかく観てほしい。

○体調悪いのも忘れるほどの恐ろしい作品。
原題の「whiplash」=ムチ、という題名が本来正しい。おそらく音楽映画であることが分かりやすくするための邦題なのだろうが、如何せん観た後だとしっくりはこない。

○アメとムチのムチなんですよ。しかもとんでもないヤツ。
先生役のJ・K・シモンズ(旧「スパイダーマン」シリーズでJ・ジョナ・ジェイムソン編集長を演じていた)の迫力が凄すぎます。

全○体を覆う狂気・不穏なムードによってゾクゾクさせられる映画。ラストはそのゾクゾクもすっ飛ばす圧巻な10分弱。上映年が2015年じゃなかったら年間1位もあったなという作品です。







2位「マッドマックス 怒りのデスロード」


○マッドマックス!マッドマックスがヤバい!なんか変なテンションになるほどクソバカバカしくて、クソド派手で、クソ狂ってて、もうなんかどうでもよくなるほどぶっ飛ばしてくれる。緻密なストーリー?んなもんいらねーよ!!V8を讃えよ!とにかくクソサイコーなバカ映画だ!もう完全にラーメン二郎的な人を選ぶやつだ‼

○シリーズを観たことがない?大丈夫。「北斗の拳」的"世界は核の炎に包まれた!"世界観であること、主人公マックスが妻と娘を亡くしていることを知っていればOK。これでもう君も「What a lovely day!」と言える。

○マッドマックスははっきり言ってただただ疾走し続けるだけのバカ映画なので、その手のやつを許容出来る人用です。それ意味あんのかよ?的なギミックが二時間ひたすら出てくる。V8を讃えよ!とにかくまぁ飽きない。こういうのを4DXで観るべきですね

○マッドマックスは何かホントにマッドマックス2を上映してた1970〜1980年代あたりのいわゆるハリウッドの伝統的なシンプルなフォーマットを踏襲していながら、ひたすらそれを尖らせた結果のような作品。V8を讃えよ!どシンプルとはこのことを言う。

とにかく身を全て作品に委ねてください!







1位「STARWARS EPISODEⅦ フォースの覚醒」


はい。すいません。

正直エピソード7〜9をディズニーがやると発表した時、完全に搾取目当ての商業主義的
なやつだと、斜に構えてました。ただ今年初夏に映画館で予告が流れた瞬間から、もう興奮が12/18まで止まりません。
しかしルーカスが関わらないことで全てが瓦解してしまうのではないかという不安で、「つまらなかった」と劇場を後にする悪夢を何度も観ました。上映前日は風邪もどきも患いました。

だが、J・J・エイブラムスは成し遂げた。4〜6の空気感を踏襲しつつ、次の世代へのバトンタッチを。

○今回のストーリー展開は受け入れられない方もいるであろう。それはある。
だがストーリー各所の配置の仕方がとにかく痒いところでちょうど突き刺さってくる。
新キャラも良い。なぜジャージャーがファンに不評だったかをしっかり理解している。
新キャラは次作以降の伸びしろも十分だ。

とにかくネタバレが横行する前に観てくれ。語りたい部分はいくらでもあるけれでも、今は時期が時期なので敢えてここでは書きません。


スターウォーズに初めて触れる方は、今作だけでも完結できるが、やはり4〜6までを観ておくのがベター。
大きい劇場で迫力ある場所で。IMAX3Dはかなりオススメ。

では、私のフォースが覚醒したところで2015年の映画感想を終えたいと思います。