エンジェル ウォーズ (原題:SUCKER PUNCH)


母の死後、養父によって精神病患者の施設に収容されたベイビードール(エミリー・ブラウニング)。
檻の中に閉ざされたベイビードールは、空想の世界へと自らを誘う。


彼女は娼館にいて、ショーをしているという設定だ。
さらにそのショーで、彼女はさらなる空想世界へと入り込む。

彼女の官能的ダンスは、空想世界での戦闘になっていく。
そこでは彼女は無敵の戦士となり、化け物たちと戦うのだ。

さらに空想世界で現れた賢人から、自由になるためには、地図、火、ナイフ、鍵、そしてもう一つのあるものを手に入れなければならないと教わる…





観賞日

2011年4月20日






【75点】






あらすじではよく分からないと思うので、
まずは予告編を観てほしい

http://www.youtube.com/watch?v=WAyJZQCRle8




????


まず、そう思うはずだ。


そう、何だコレは。と。



















今作は、
ザック・スナイダーのやりたいことを全部詰め込んで、やりきったかのような作品となっている。

そこがまさに見所。

いわゆる今世界で人気のCOOL JAPANを全てごった煮にしたような感じ。










今までのアメリカ映画だったら、ブロンドの少女が、へそだしのセーラー服を着て、日本刀と銃を武器に、まさに縦横無尽に活躍することなどあり得ない。






だが、今回の映画の「日本」解釈はある意味正しい。
ベイビードールが戦う様はまさに「デビルメイクライ」のダンテでもあり、「BLOOD THE LAST VAMPIRE」の沙夜でもあり、最近で言えば「緋弾のアリア」のアリアでもある。


アメリカ人は戦う人間はマッチョみたいなイメージがあるのか、ほそっこい少女がガチでバトるという作品は少なかった。






そうかんがえるとゲーム世代直撃。まさに私達世代にフィットする映画かもしれない。

あーこれをオマージュしてんなーと思わずクスリと笑う(苦笑?)。

自分はカプコンゲームがメインなので、沢山類似箇所を見つけました。
(「ロストプラネット」を思わせる、卵型の二足歩行のロボや、「鬼武者」を思わせる鎧武者など。)














この映画がすごいのは、そのゲーム的要素を違和感なしに成立させる映像美。まさに漫画やゲームを原作とした映画はこうあるべきという見本のような素晴らしさ。



さすが、『300』や『ウォッチメン』で映像革命を起こした監督だ。
映像に対するこだわりは並々ならぬものではないし、『ウォッチメン』と同様に映像と音楽の融合性も異常に高い。




これこそ3Dで観たい映画。ていうか少なくとも映画館で観たい映画。




















だが、映像だけならさして評価はしなかった。
では何故ここまで点数をあげたのか?


この映画には多くのギミックがある。










空想のさらに空想。

だが、そこで起こっていることは現実世界ともリンクしている。


空想世界のモニュメントやイメージは、実は現実世界の一部を反映している。
そこを読み取るのもこの映画の面白いところ。



ベイビードールが「官能的なダンスを踊る=化け物とバトルする」という構図は、現実では相手にヤらせているのではないかと思う。

そう考えると、満足げな表情をした男やダンスが終わった後に服を着る描写が意味を持ってくる。





このようにギミックが多い作品だが、最後の最後までわからない。
最後に「あー」ってなる映画。



まあ若干の?は残るかも知れないがそれでも、『シャッターアイランド』よりずっと多層的な映画ではないかと思う。



















この映画が問題なのはむしろ日本の配給側にある。





プロモーションが酷かったといわざるを得ないのかもしれない。

はっきり言えば邦題がひどすぎる。
このタイトルではTUTAYAでヒットした映画に便乗するC級パクリ映画そのものではないか。
これまでもいくつか内容に見合っていない邦題の映画はあったが、ここまで内容を劣化させてしまう題名も珍しい。損をしている。



原題のSUCKER PUNCHは「不意な一撃」。
意味深なタイトルだ。

映画を観れば様々な意味でこのタイトルが適切だと思い知らされる。
ラストしかり。








さらに予告編から大幅に評価が上がった映画も珍しい。

予告編の感じだと60点ぐらいでもおかしくなかった。
だが、結果はこう(75)だ。



本来ひきつける筈の予告編で引かせてしまうとは、損をしている。
(自分も劇場で予告編を観たときは引いた)












さらに配給がほとんど日本語吹き替え版で、声優陣に声優アイドルグループのスフィアを起用するという戦略。




何これ?
こーいう映画観るの昔からのアクション好きだったり、ぶっとんだカルト的作品が好きだったりする人も多いわけで、そういう人たちにとってはまったく分からないと思う。



アニメ好きや音楽好きなら彼女らを分かるけれども、
別にスフィアである必要性はない。むしろ英語で観たかった。



メンバーがスフィアであることによって若干のストーリーラインの予測も出来てしまうし。
なーんかマイナス。
スフィアのタイアップしたアニメを考えてみれば、
スフィア好きな人の大半が、この手の作品を好きかどうかも怪しいことなど一目瞭然。





まあさすがの声優ぶりで、アニメとは全く違う演技だった。さすがプロ←失礼
戸松遥が若干アニメっぽい演技だった気もしたが、さほど気にならず)





まあぶっ飛んだ作品好きなら観ましょう。