わが母の記


作家の井上洪作(役所広司)は、幼少期に兄弟の中でひとりだけ親と離れて暮らしたことから、母に捨てられたという想いを抱き生きてきた。
父が亡くなり、残された母が問題となり洪作は距離を置いてきた母・八重(樹木希林)と向き合うことになる。

兄弟や妻、父親に反発的な琴子(宮崎あおい)など娘たちとの関わりあいの中、母の想いが見えてくる…

観賞日

2012年5月6日





【80点】



静かなる秀作。
樹木希林役所広司宮崎あおいの3大キャストが親子3代の役柄で好演した。

どっしりと構えた様相の役所広司
ひょうひょうとした樹木希林
宮崎あおいの清々しさには癒しを感じる。
3つの演技が絡み合うことでこの映画が多重性を成していく。




1959年から1969年へと作品内で時が流れていくが、移り変わる時代を感じさせる。
その移り変わりには、目に見えない世代の移り変わりもあり、目に見える変化ということでは洋服への変化というところがある。
両面の変化を楽しめるのがミソで、単純な展開で終わりがちの家族モノの映画とは一線を画している。


安心して観れる作品で、『武士の家計簿』や『キツツキと雨』などのような作品を好むような方にお勧めの作品だ。