ファミリー・ツリー

ハワイ、オアフ島で暮らす弁護士のマット・キング(ジョージ・クルーニー)には突如として人生の転機が訪れていた。
さらに祖先から受け継いだ広大な土地を売却するかしないかという一族の問題にも直面している矢先、
妻がボートの事故で昏睡状態に陥ったのだった。

これまで構ってこなかった小学生と高校生の2人の娘との関わり方に四苦八苦するマット。
さらに妻が浮気していたことまで発覚し…



観賞日

2012年5月19日






【87点】





ジョージ・クルーニーがまたもややってくれた。
2010年の映画『マイレージ・マイライフ』での、
「マイルを貯めることだけが趣味だった解雇宣告人が愛を知る」演技はまさしく好演だったが、
今作でも同等、いやそれ以上の演技を魅せてくれた。



アカデミー賞主演男優賞にもノミネートされた演技は本物。
(作品自体は作品賞・監督賞にノミネートされ、脚色賞を受賞)


これまであまり娘たちに構ってこなかった主人公のマットは関わり方が掴みづらい。
その上、上の娘が反抗期まっさかりということで頭をさらに悩ませる。

ここでのリアルな苦悩が素晴らしい。
大げさにイラつくわけでもなく、「うーん」と考え込んでいる表情がリアルだ。
だからこそマットの考えていることはわかりにくいわけだが。

娘たちに対する彼の行動を追っていくと、そこで彼の内面の変化が見えてくる。
そしてラストシーンでグッとくるだろう。









南国の楽園と言われるハワイで起こる、
或る家族のドラマ。

それは特別なものではなく、誰もが体験しうる可能性がある話。
だからこそこの映画に心が動かされるのだろう。

誰もが体験しうる物語に、温かなハワイの景色が心を満たしてくれる。
一度でもハワイに行ったことある人はそこに生きる人たちの物語に注目し、
さらにまたハワイの新たな面に触れることができるだろう。












ハワイアンの音楽が様々な多面性をみせてくれるのがこの映画の肝だ。

ハワイアンを単純に聞き流してしまうとあまりそれぞれの曲の違いを感じ取ることはできない。
「ゆったりとした南国の癒し」。
そういうイメージだろうか。


だがこの映画ではあらゆる場面でハワイアンが鳴る。

ゆったりした場面、辛い場面、悲しい場面、心がほっこりする場面…
それぞれの場面でハワイアンがそこにあった音楽となってくれる。
ハワイの文化が持つ豊かさを象徴するようなハワイアンの音楽に酔いしれることもできる作品だ。