- アーティスト: OST
- 出版社/メーカー: VARES
- 発売日: 2018/02/23
- メディア: CD
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
年老いた母親を介護しながら毎日忙しく働いている51歳のカレン(アネット・ベニング)。彼女は37年前に産んですぐに子供を手放している。だが、彼女は1日たりとも子供を忘れたことは無かった。
37歳のエリザベス(ナオミ・ワッツ)は、母親を知らずに育ったキャリウーマン。自分のキャリアアップの為にこれまで生きてきた彼女だが、思いがけない妊娠をきっかけに、会ったことのない母に会おうかと思い始める。
同じ頃、黒人女性のルーシー(ケリー・ワシントン)は、なかなか子供が出来ず、養子縁組を決意する。とある妊婦とめぐり合うのだが…
観賞日
2011年1月20日
【70点】
究極の愛のかたちのひとつ。それは家族愛。
今作は、様々な母娘の関係からそれを描き出す作品だ。
『愛する人』という邦題は、全てを知っている上なら分かるが、
それよりも原題の『Mother and Child』の絶対に適切だろう。
是非女性に観てほしい作品。
映画前半は厳しい現実が、彼女たちにのしかかる。
母親の介護をするカレンは、気難しい性格もあって人間関係に苦労する。(絵に描いたようなツンデレ具合。というかツンツンか。)
エリザベスも同様に、人との関係性に苦労する。また、子供が出来ないルーシーは、夫や夫の親との関係性が気まずくなる。
とにかくこれらの描写がリアリティがある。出てくる人は皆、善人でも悪人でもない。
人間関係・状況に苦悩する人間だ。
このリアリティはやはり演者によるところも大きい。
『アメリカン・ビューティー』のアネット・ベニングや『ザ・リング』のナオミ・ワッツなど実力派俳優陣が見事な演技を披露する。
特にアネット・ベニング演ずるカレンの心が変わっていく様子は、素晴らしい。
変わっていく彼女を見ると、観ているこちらを何だか微笑ませてしまうのだが、
「何だか」という何となくの感情を抱かせるのは並大抵の演技ではできない。
「自然」ほど難しいものは無いからだ。
ちなみにサミュエル・L・ジャクソンも出てます。いい味出してます。
実は、自分としては観ていて「?」になる部分もあった。
なぜそんな行動をとるのだろうか?と疑問に思う。
だが、それは彼女たちそれぞれのパーソナリティであり、意志だから説明が無い。
もしかしたらこの部分は女性の方なら分かるのかもしれない。
だが、女性でなくともラストの綺麗さには心動かされる。
全てのエピソードが収束する様は昨年の『クロッシング』を思い起こさせるが、
(そういえば『クロッシング』も邦題が微妙だった気が…)
内容のベクトルは全く違う。
どこか堅かった彼女らの心が、段々と開いていくイメージ。
涙涙のラストというよりはゆったりとした安心感に包まれるようなラスト。
なんだか切なくもあり、暖かくもある。
それが家族愛のかたち。
親になんだか感謝したくなるエンドでした。
どうぞ予告編をご覧ください。