宇宙兄弟

観賞日

2012年5月20日




【75点】



近年の日本の大作映画。
そういう映画は常に「期待外れ」という烙印を押されてきた。
だが、今作はそれを乗り越える一歩を踏み出している作品と言える。




就職活動などを経験した人間にとって、主人公ムッタの心の動きは共感を生む。
挫折して自分の壁にぶつかって、それでも諦めない道を探す。

自分はどうせ凡人だからとあきらめそうになる心を、夢で奮いあがらせる様は手に汗握る。
汗臭い、生易しいサクセスストーリーのようにも見えるが違う。

夢を得るために努力する、その行為こそ意味があることを教える映画。

宇宙への夢をもつ少年たちに観て欲しい映画かもしれないが、
それと同時に挫折した人々の心の琴線に触れる映画になっている。










もちろんただ単に「夢へ頑張る」ことだけがこの映画ではなく、
目を見張るロケットの発射シーンも見どころの一つ。

お金をかけていても「うーん…」と思ってしまうCGが多い大作邦画だが、
今作はまさしく力の入りようが違う。

ロケットの轟音とスケールの大きさは劇場でこそ映える。
この原作を映画化した大きな意義はこのシーンにこそある。

いわゆるロマンが詰まったこのシーンはぜひ劇場で観ていただきたい。

かつて月に行った宇宙飛行士バズ・オルドリンが本人役で出ているのも何気にアツい。








ストーリーには多少の文句もあるかもしれないが、
原作が未完である以上、ラストはある意味必然。

だが着地点として一番いいところを取ったのではないかと思われる。
中途半端に間延びせず、ラスト以外の部分を濃くしていくことに成功している。