ずっと好きだった/斉藤和義

誰もが持つ心情を描けるという非凡さ

ずっと好きだった

ずっと好きだった


斉藤和義はデビュー17年目のアーティスト。


有名な曲は、ポンキッキーズの主題歌「歩いて帰ろう」、ミスチル桜井がカバーした大傑作「歌うたいのバラッド」、2010年の映画ゴールデンスランバー主題歌「幸福な朝食 退屈な夕食」など。









特徴は、内に秘める心情を心をこめて歌い上げるようなスタンス。
ミドルテンポなナンバーが多く、音としてはどこか懐かしさ(ビートルズ的な)を秘めている。

ライブでは、バンドスタイル・弾き語りスタイルと様々なスタイルをこなす。

個人的にはエレファントカシマシthe Pillowsと同じ匂いを感じる。











「負け犬」臭。一種、やさぐれているような。

それはだれもが持っている心の弱さや想いだったりする。

だからこそ彼らの歌は胸に突き刺さってくる。

違うと分かっていても、自分を重ねてしまう。

アイドルが「理想」を歌い上げるなら、彼らのようなアーティストは「現実」を奏でる。


「負け犬」たちは現実の中に「希望」をみる。
















近年さらに斉藤和義が売れてきているのも、彼の歌に共感する人が増えたからではないか。

安っぽい表現にはなるが、喧騒に疲れた現代人の心を癒す。共感させる。

自分が社会人になったらもっと理解できそうな曲で、もっと新しい視点に目がいくかもしれない。まだまだ生きてきた尺の短い自分には理解しきれないアーティストだとハッキリいえる。























今作、「ずっと好きだった」は資生堂「IN & ON」CMソング。

久しぶりに会った(恐らく同窓会?)女性に告白するという内容。
CMのために書き下ろされた曲だが、斉藤和義らしさが良く出た曲に仕上がっている。





ミディアムテンポ・メロウなナンバーはやはりビートルズを彷彿とさせる。



だがやはり歌詞だ。

つぶやきのような、嘆きのような、なんともいえない心情をそのまま歌詞に持ってきて、

<ずっと好きだったんだぜ 相変わらず綺麗だな> <ほんと好きだったんだぜ>
とサビを難なく歌い上げてしまう。

それが斉藤和義の真骨頂。

自分も今この歌みたいに気持ちを言えない状況にあったり、なかったり。







それにしてもPVが確信犯的だ。

ポール・マッカートニー役に斉藤、ジョン・レノン役にリリー・フランキージョージ・ハリスン役に2丁拳銃小堀裕之リンゴ・スター役に濱田岳を配して、偽ビートルズを結成。

けっこう似ているし、こだわっている。

そこが心憎い演出。








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