回帰する呼吸/the cabs

”残響”の正統後継者

回帰する呼吸

回帰する呼吸






the cabsは、3人組のバンド。
今年4月に1stミニアルバム「一番はじめの出来事」を残響レコードからリリースし、注目されていた。

私自身、彼らの1stミニを聴いたが、そこにはまだまだ粗さがあり、彼らの色がどこにあるのかイマイチ掴みづらかったおぼえがある。
そして前作から8か月、2ndミニアルバムとなる今作リリースされた。

このアルバムを聴いたとき、このアルバムでthe cabsというバンドのサウンドがより明確化されたように感じた。

















まず彼らのサウンドを聴くと最初に気が付くのは、手数の多さとどこか冷たいサウンド、文学的なタイトルと歌詞。
cinema stuffやpeople in the boxperfect piano lessonなどの残響レコードに所属しているバンドと共通している項が非常に多い。




téのギタリストである河野章宏が代表取締役を務めている残響レコードだが、彼は自身の著書で「残響レコードというレコード会社で選んで買ってもらたい」と語っている通り、レコード全体で統一感を出そうとしている点がうかがえる。

だが、それは各アーティストの個性を画一化・平均化し埋没させてしまうわけではなくて、空気感の似ているアーティストを発掘し、それぞれを洗練させてレコード全体のレベルを上げていく試み。

9mm Parabellum Bulletの成功から脚光を浴びた残響レコードは安心して「レコード会社買い」をできる、面白いレコード会社というわけだ。だが、それゆえに年々期待は高まり、次にデビューする新人のハードルも高くなる。



その点、空気感がこれまでのバンドと似ているthe cabsは「残響レコード買い」をした人間を満たすことのできるバンドなわけだ。
まさしく、”残響”の正統後継者。







the cabsならではの部分、繊細なボーカル、ギターのアルペジオ+シャウト、そして絶妙で奇妙なドラミング。
3人の個性である、これらの要素が絡み合ってthe cabsが形成されている。

個人的には、繊細なボーカルとある意味暴力的なシャウトの融合がエッジーさを生み出していて、聴きどころとなっていると思われる。
なんだか殺伐とした歌詞世界も残響らしさ全開で魅力的。
















オススメは
1,3,4



1.「キェルツェの螺旋」は、畳み掛けてくるイントロが印象的。
アルバムの1発目にふさわしい、2分弱という短い時間でバンドのエネルギーを盛り込んだ作品だ。


↓キェルツェの螺旋はこちら
http://www.youtube.com/watch?v=6Ey3jFf6vhA



3.「カッコーの巣の上で」は同名映画を題材とした曲。
中盤の展開の面白さに注目。速い→遅い→速いのめまぐるしい展開の仕方には脱帽です。
昔からある曲らしい。

4.は「skor」は、ドラムが変態な曲。
ポップさも目立っていて、個人的にはアルバムで一番好み。



まだまだ進化の余地は十分。メンバーそれぞれの個性を磨いて、更に変態的な(いい意味で)音楽にしたらもっと面白くなりそう。


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1. キェルツェの螺旋

2. camm aven

3. 解毒される樹海

4. カッコーの巣の上で
,
5. skor

6. 第八病棟