内包するエネルギーが大爆発
- アーティスト: NICO Touches the Walls
- 出版社/メーカー: KRE
- 発売日: 2011/12/07
- メディア: CD
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NICO Touches the Walls は2004年結成の4人組バンド。
今作は4つ目のアルバム。
しかも、今年4月に3rdアルバムをリリースしてからわずか8か月の間に完成させた。
つまり、11+10で1年間の間に21曲もの曲をリリースしたことになる。
驚異的なペース。彼らがすごいのは、それらが似たような曲が並ぶものではなくてしっかりと進化が感じられるようになっている点だ。
2009年の鋼錬タイアップの曲「ホログラム」で、彼らはそれまでのイメージとは全く違う曲で見事にタイアップを果たす。
変則的な曲や、カントリー調の曲など元々センスが感じられていたが、このタイアップ以降さらに突き抜けた印象を得た。
しかし同年のアルバムは、シングル曲の濃さに比べてアルバム曲にもうひとつパンチが欲しかったところだった。
そして2011年、3rdアルバムでは、突き抜けた部分といい意味で変なセンスが融合し「PASSENGER」という名アルバムをリリースした。メジャーデビュー以降これまで彼らが得てきたセンスを凝縮したような集大成となっており、マニアックさも突き詰められて聴きごたえも十分。
今年はこれ以上つきあがらないかなーと感じていたところに「手をたたけ」が投下された。この「手をたたけ」LISMOのCMソングとしてパワープレイされた曲だが、マニアックさが持ち味の彼らとはかけ離れたところにあるポップさがそこにはあった。
まさかのブラスとストリングスの導入によって彼らのサウンドは更なるステージへと上がった。超ポップなうえに独特の歌詞のセンスのマニアックさ。これは無敵だろ、と9月ごろにすでに次のアルバムが楽しみになっていた。もちろん次は2012年にリリースするものだと思っていたが…
まさかの12月リリース。早過ぎだろ!?と驚愕したが、そんな心配はご無用。
3rdアルバムを超える、新たなNICOがこのアルバムにあった。
まず、サウンド面での変化が最も大きい。「手をたたけ」で吹っ切れたのか、自由奔放なサウンドメイクが目立っていたし、NICO史上最もバラエティに富んでいるのは間違いない。「Heim」はアルバムの最初とは思えないほど穏やかな始まりだし、「極東ID」はジャズライクなサウンドを追及している。「業々」はある種の怒り・苛立ちを表現したような轟音サウンドに仕上げている。
結果として「HUMANIA」というタイトル通り、人間を突き詰めた、人間の様々な面を詰め込んだような印象のアルバムになった。
さらにバラエティに富んでいることだけが「HUMANIA」の由来でないことは、彼らのこれまでの変遷を見ているとわかる。明らかにライブでのコミュニケーションが意識されているからだ。ライブからのフィードバックがアルバムに反映されて、とんでもないエネルギーを内包してしまった。
オススメはすべてだが、
敢えて3,4,7,9,10を挙げる。
まずタイアップ曲から、
ドラマ「11人もいる!」の主題歌3.「バイシクル」は、このアルバムで数少ないいつものNICOかもしれない。
疾走感とどこか漂うウエスタンな風味、まさしくNICOだ。
客と一体化できる部分を取り入れているのも聴き逃せない。
10.「手をたたけ」は、もはや何も言う必要がない。
ポップだからと言って決しておちゃらけているわけではなく、力強さをも内包し、突き進むさまは圧巻というほかない。
<手をたたけ 手をたたけ 願う日は来ないけど>
<この魂が尽きるまで><悲しみが尽きる日まで もう全部この手が掴んでいくんだぜ>
と高らかに歌い上げる。
↓「手をたたけ」はこちら↓
http://www.youtube.com/watch?v=L61RrYzlK1I
4.「カルーセル」ではエレクトロポップの要素を取り込みつつ、人間の切なさ・ナイーヴさをじっくり聴かせる。
ミディアムテンポ7.「Endless roll」は、歌詞の中の<螺旋階段>とシンクロするようなグルグルとまわるギターの響きに中毒性がある。
9.「demon(is there?)」は、NICOでは稀な展開で魅せる曲。人生の道のり(山あり谷あり感)を曲の抑揚に乗せて表現する見事さ。
マニアックさとポップさで進化の証をみせてくれたNICO。
2011年、2つのアルバムとも傑作だったのでぜひ聴いてほしい。個人的にはこの「HUMANIA」が必聴盤。
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1. Heim
2. 衝突
3. バイシクル
4. カルーセル
5. 極東ID
6. 恋をしよう
7. Endless roll
8. 業々
9. demon (is there?)
10. 手をたたけ