草食負け組の「空想」と「リアル」
- アーティスト: 空想委員会
- 出版社/メーカー: BUDDY RECORDS
- 発売日: 2011/12/28
- メディア: CD
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空想委員会は、これまで自主製作の2枚をライブ会場やディスクユニオンで2000枚を売り上げ、自作PVなどもアクセス数を大きく伸ばしている、3人組+1人(非常勤ドラム)のバンド。
2011年12月28日、SAKANAMON、AJISAI、東京カランコロン、10-FEET、藍坊主らを輩出したBUDDY RECORDSからデビューアルバム「恋愛下手の作り方」をリリースした。
簡潔に言えば、ギターロック主体のバンド。比較対象としてアジカンなどがあげられることも多い。確かに「君繋ファイブエム」時代のアジカンが持っていたギターロックぽさと共通する部分も多いだろう。
違うのは、アジカンが「ロストジェネレーション世代の社会的負け組の歌(社会における自分の立ち位置)」であったのに対して、この空想委員会が歌うのは「草食系の、恋愛における負け組の歌(ミニマムな世界での立ち位置)」。
やはり時代性の違いか、これら2組は、対象とする世界が異なっている。
最近のギターロックの流行といえば、歌詞・世界観が重め・負け犬といったあたりの要素がからんでくる感じのものが多い。
Amazarashiとかtacicaとか…etc。勿論それぞれの方向は違う。
今回の空想委員会は草食系男子というベクトル。
恋愛に対してガンガン行くタイプではなく、踏み出せずに身を退いてしまうような”草食系男子”の歌。
記憶にすがって生きるような歌詞や「もう打つ手はない」などの歌詞に代表されるように負け犬感は歌詞からもひしひしと伝わってくるが、状況を肯定する事が正しい選択であるだと思えてしまうほど、そのサウンドは迫力に満ちている。
社会や倫理の授業などで、心理学的な意味での”昇華”というものを聞いたことがあると思うが、このアルバムはまさにそれ。
内に宿るモヤモヤを音楽を通して爆発させている。
とまあ、ここまでだと他のアーティストとかぶるんじゃねーかと思われてしまうが、彼らがさらにすぐれているのは音楽にポップさがあるということ。負け犬系音楽だと、ともすれば人を選ぶようなアクの強い音楽が多い。(だからこそ面白くもあるが)
だが空想委員会には圧倒的な聴きやすさがある。その聴きやすさが、一筋縄でいかない歌詞とあいまって絶妙なバランスで構成されているから彼らの音楽は面白い。
しかも歌詞に「あるある」と共感できてしまうのが彼らの怖いところで、ひとたび共感してしまえば「負け組」の仲間入りをさせられてしまうらしい(笑)。負け組の思想で、「人間は不完全である」という当たり前のところに、様々な切り口で切り込んでいくユニークさも見事。
オススメは、
1,3,4,6,8
というか、1.「独占禁止法」を良いと思ったらすべて一気に平らげられる。
というわけでまずは1.を聴いてもらいたい。
↓独占禁止法はこちらから↓
http://www.youtube.com/watch?v=QLynln0ZI7M
1.からいきなり彼らのセンスが爆発する。新人らしい、切れ味のいいギターロックという様相。
しかし、クラスのマドンナを独り占めする人間への感情って…すごい角度からの歌だな!と、視聴機で吹きそうになったのは言うまでもない。
3.初手リーサルウェポンの成熟したメディアムサウンド、4.空想ディスコの踊れるロック+コーラスの使い方の巧みさなど中盤も聞き逃せない。辛い現実から一時的に逃避するために頭の中で音楽を鳴らす、空想ディスコはなるほど共感してしまうところだ。
アルバムタイトルを冠する8.恋愛下手の作り方は、ザ・草食な感じ。
<君の幸せを形作る担当をはずされていたことも後に知った>
<笑顔で送り出す準備はできているよ><嗚咽を我慢して今日も笑う><1人でも大丈夫 何も心配ないよ>
どこか切ないサウンドに乗せて、恋愛下手が暴かれていく。
アルバムダイジェスト↓
http://www.youtube.com/watch?v=sSdkaiEF7qg
完成されている感が怖いところで、次にどんな伸びしろをみせてくれるかが気になるところ。
J-ロック好きは要チェック!
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1. 独占禁止法
2. 切illing Me Safety
3. 初手、リーサルウェポン
4. 空想ディスコ
5. エンペラータイム
6. 二次元グラマラス
7. 全か無かの法則
8. 恋愛下手の作り方