その輝きは、次世代の新星
- アーティスト: tacica
- 出版社/メーカー: SE
- 発売日: 2010/04/07
- メディア: CD
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tacicaは昨年デビューした、スリーピースバンド。
今作は、前回のメジャー1stアルバムから11ヶ月ぶりの新作シングル。
はっきり言おう。このバンドはヤバイ。
個人的に今年の最高の発見は「世界の終わり」と「androp」だったが、
昨年はぶっちぎりで彼らだった。
だいぶ前にレビューした、
ソラニンsongbook
でも昨年の曲、「人鳥哀歌」が収録されている。
北海道のバンプという触れ込みで最初は紹介されていた彼ら。
声的には確かに似てなくも無い。
だが、圧倒的に歌詞が凄い。
例えば、「人鳥哀歌」は比喩表現のみで構成されている。
恐らく人間をペンギンに例えて唄った歌なのだろうが、ずっと比喩。
歌詞の捻り具合が異常。
具体的なわかりやすい言葉というのはあまり彼らの歌詞には出てこない。
たとえば人鳥哀歌のサビ、
<もっとズルさを責め立てなくては 限られた選択に>
<氷上に酔って 溺れる歌 一人潜る方を 恨んだ日>
まあーパッと見ただけでは分からない(笑)
だからこそ噛み締める価値が大きい。
彼らはメディアでのプロモーティングがほとんど存在しないにもかかわらず、
シングルやアルバムはオリコンTOP10入りを果たしてきた。
それはひとえにロックファンの期待がアンダーグランド的に、かつ広い範囲でかかっているからではないだろうか。
音楽的にも、3ピースバンドということを感じさせないほどアイディアに溢れた楽曲が多い。
骨格はシンプルなんだけど、どこか良い意味で捻くれている。
例えば4000曲収録されているwalkmanの曲をランダム再生させても、彼らの曲は「tacicaだ」とすぐにわかる。
ボーカルの力強く、張り詰めた歌声と、どこか"重さ"を感じる音。
既にtaciaの世界観は構築された。
今作は、4曲収録されているシングル。
中でも1.2.の2曲がオススメ。
1.は今までよりもとっつきやすい音楽になった印象。
ポップさが増したのだろうか。歌詞もよりわかりやすくなったような。
それでも彼らの「らしさ」は変わらない。
この曲に関して言えば、ドラムの手数の増減の激しさが印象的で、ひねた部分だ。
だが、「らしさ」といえば、何度聴いても発見があるような奥深さ。
常に新しさを持つ層の厚さが、たまらなく魅力的なアップテンポなナンバー。
2.「アリゲーター」は、お得意の動物比喩。
アルペジオのメロディーの切なさ、歌詞の切なさのダブルパンチ。
<だから今度こそ …でも決まって雨>
の後のギターソロが、鋭い”雨”に身をうたれる様子を想像させる。
自分自身との向き合いの中で、結局解決しない切なさはアジカンと同じ匂いを感じたりもする。
取りあえず、聴け↓
視聴はコチラ(youtube)
メディアプロモーションがほとんどないことからありえないとは思うけれども、
このバンドがハガレン主題歌とかやってくれるなら大賛成もいいところだ。
そのぐらいのレベルです。
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1. 神様の椅子
2. アリゲーター
3. セメルパルス
4. 馬鹿