スーパースター/back number

”切なさ”から彼らが得た「もの」

スーパースター

スーパースター






back numberは3人組のロックバンド。昨年にインディーズで1stフルアルバム「あとのまつり」をリリースし、さらに今年は3枚のシングルをリリース。
そのシングル2枚目の「花束」が数多くのラジオ局でパワープレイとなり、そのひたすらに切ない歌詞とメロディがうけて、口コミで一気に彼らの名が広まっていった。彼らの名を知らずともどこかで彼らの楽曲を耳にしたというケースは少なくないはずだ。





誰もが経験する切ない思い出が凝縮されたback numberサウンドが広まったのはある意味必然。男目線も女目線もあり、昨今の失恋ソングブームとは毛並みが少々ちがっているのも面白い所。














そしてそういった注目が集まる中でのメジャー1stアルバムが
今作だ。もちろん注目を集めたシングル曲はしっかりと収録されている。

さらに個人的にはシングルのカップリング曲がいくつか入っているのもうれしいところ。シングルの収録時からそのクオリティの高さはシングルの表題曲並だっただけに、アルバム全体の完成度は間違いなく高いことがわかる。













だが問題は、シングルのカップリングが入っていることと表裏一体の部分にある。つまるところ、アルバムオリジナル曲が12曲中5曲しかない。正直なところ新しい曲を多く聴けると思っていたのでその点ではがっかりだった。











だが前回のインディーズのアルバムと比べると圧倒的にクオリティが違う。前作は今年のシングル曲以降のback numberと比べると中途半端さがあった。


イメージとしてはflumpoolのようなロックと思えて昨年度の時点では特筆すべきではないと思っていた。





だがシングル以降の彼らは切なさを前面に押し出し、さらにサウンド面でも切なさをより重視してきたようだ。結果としてエッジがきき、「back numberらしいサウンド」がみえてきた。

















オススメ曲は、
1,2,3,4,6,9,12










アルバムの表題の一部にもなっている、2.「スーパースターになったら」は、

<スーパースターになったら 迎えに行くよきっと
僕を待ってなんていなくたって 迷惑だと言われても
スーパースターになって 男らしくなった新しい僕で
迎えに行くから>とサビで唄われる通り、スーパースターになりたいという願望が描かれる。




彼らの歌は確かに広く受け入れられるようになってきた。その急激な変化に本人たちも驚きをおぼえている筈だ。



その意味で、このアルバムのタイトルが「スーパースター」というものになったのがある種の自己模索や皮肉のようなものに思えてならない。
表面的には受け入れられて、「スーパースター」にこのアルバムでなったように見えるが、彼らは自らの状況を受け入れて、それでも「スーパースターになったら」という曲で自己模索を続けている。このアルバムの意味は明らかにこの曲によって高められている。













シングル曲の1,3,4は安定のクオリティだ。
生活感にあふれた歌詞は、覚えやすいうえに聴き入りやすい。




1.「はなびら」は、春の失恋ソング。このシングルをはじめて聴いた時はついに味が出たと感じさせられました。

「はなびら」↓
http://www.youtube.com/watch?v=p-MaAb9SsyE



しかしなんといっても3.「花束」のドラマチックさは絶妙。だんだんとサビに向けて盛り上がる展開は古典的ではあるが、彼らの色、「切なさ」がプラスされることでよりドラマチックさを帯びる。



「花束」はこちら↓
http://www.youtube.com/watch?v=UI1e0doanFg






4.「思い出せなくなるその日まで」は大切な人を失ってしまった曲だ。失恋でも死別でもあり得る曲だが、その愛情の大きさが大きかった分だけその喪失がいかに大きいかをback numberサウンドで訴えかけてくる。


<たとえばあなたといた日々を 記憶の全てを消しされたとして><もうそれは私ではないと思う>



「思い出せなくなるその日まで」はこちら http://www.youtube.com/watch?v=UKU_4IyiQws





↓アルバム収録曲のダイジェスト↓
http://www.youtube.com/watch?v=33z0CcTVaes



「失った」歌で、「手に入れた」彼らがこの先一体どんな曲を提示してくるのか、このアルバム名が本当の意味で彼らを形容するようになるのかはそこにかかっている。



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1. はなびら

2. スーパースターになったら

3. 花束

4. 思い出せなくなるその日まで

5. あやしいひかり

6. 半透明人間

7. チェックのワンピース

8. ミスターパーフェクト

9. こぼれ落ちて

10. リッツパーティー

11. 電車の窓から

12. 幸せ