映画 けいおん!

大学にも合格し、いよいよ卒業を控える軽音部の3年生の唯(豊崎愛生)、澪(日笠陽子)、律(佐藤聡美)、紬(寿美奈子)だが、いつもと変わらず部室でお茶をする日々を送っていた。

そんなある日、同級生が卒業旅行をするという話を聞いて、軽音部でも卒業旅行を計画することに。決まった行き先はロンドン。軽音部のロンドン旅行がはじまろうとする中、3年生の4人にはやるべきことが残っていた…

観賞日

2011年12月3日






【78点】







テレビシリーズが大ヒットし、オリコンチャートでは主題歌が1位を獲得するなど社会現象にもなったアニメ、「けいおん」が劇場版になって帰ってきた。
しかもとんでもない劇場公開規模で。














一言でこの映画を言い表せば、「120分間に青春をぎゅうぎゅうに詰めた」感じ。あの「けいおん」のノリが劇場でも大暴れする。
だが劇場版というのはしっかり意識してあって、割とキャラクターを全体に映すカメラワークが多かったテレビシリーズに比べると、部分的にうつす映画的なカメラワークがより多い。

もちろん、小物のみをうつしたり、空を挿入するといったポイントポイントではテレビシリーズでの良さも生かされている。



















背景や主要キャラでない部分は、『涼宮ハルヒの消失』と同様にやはり京都アニメーションの細やかさが光った。
学校でのクラスメイトは単に背景ではなく、きちんとそれぞれが目的を持って行動し、おしゃべりをしているし、外でも会話の後ろで一般の人が歩いたりしている。








実写映画では、エキストラを配置し動いてもらえれば自然と撮れる画だが、アニメではそうはいかない。主要なキャラクターたちの動きをつけるだけでも手間がかかる。それに後ろで動くものを加えるのはかなり手間だ。だが、その手間を加えるだけでアニメは一気に「生きて」くる。映像の生々しさが全く違うので、実際にその風景が、キャラクターたちが生きているかのように思えるようになる。
それぞれのキャラクターらしさが現れたしぐさも、映画的なカメラワークが加わることでテレビシリーズの比ではない。




スッポンモドキのトンちゃんもがっつり動いているので、部室のシーンは要注目。唯のとんでもないセンスのTシャツもシュールで、画面が切り替わるたびにこちらに挑戦してくる。





















アニメでも人気だったライブシーンはとにかく盛り沢山となっている。しかも演出はあらゆる面でパワーアップ。楽器で演奏したことのある人ならばこの演出の細やかさは必見だ。

ギターのコード進行などしっかり手元が演奏しているし、機材のリアルさは抜群だ。さらに音もシーンによって微妙に違っているのでよーく聴き比べてほしい。おそらくそれぞれのシーンによって違う、演奏環境に合わせたのだろう。







新規書き下ろしの3曲は、OP、挿入歌、EDで使用されるがストレートにJ-ROCKくさいのが好きな私は相変わらずEDが良い感じ。

アニメと同様にEDは5人のPVっぽい感じで制作されている。
OPは唯のキャラクターソングを彷彿とさせる、ゆるふわ系のソング。どの曲もクオリティが高いので、フルで早く聴いてみたい。


















ロンドンなのでもっとUKロックがフューチャーされるかと期待したが、そんなことはなかった。

シーンもロンドン自体よりもホテルの部屋のほうが印象的だし…そういう意味で考えると「水曜どうでしょう」みたい。
まあスペシャル感を出すためのロンドンなんだろうけど…

BGMはしっかりブリティッシュロックも作成されていたのには笑ったが。















120分と長尺なので、正直ずっと女子高テンションについていくのは辛かった。(高校だろうがロンドンだろうがノリは変わらないので)
個人的には、食傷気味(笑)。

また安心感は強いが、意外性は少なかった。むしろこのタイトルの魅力のひとつが、「ちびまるこちゃん」とか「サザエさん」と似た安心感にあるだけにそこに期待するのは酷だったかも知れない。





だがテレビシリーズからの数々の伏線を考えると見事に120分におさめていったと言うべきか。教室ライブは2期の後半のOP「Utauyo!miracle」の冒頭部分を思い出す。というか見直すと、明らかに意識していたのではないかと思われる。













メインスタッフに女性(監督、脚本、キャラクターデザイン)が多くかかわるだけにやっぱりそういう女子高ノリが実現したのかも?


そして丁寧に作りこまれた事が端々から伝わってくる作品で、
テレビシリーズの、あのノリが大好きな人にはまさしく必見の作品。





予告編はこちら↓
http://www.youtube.com/watch?v=jh-hFi_ZvVA








ただ初日にもかかわらず、近所の映画館では満席になっていなかったのは売上的に心配。都内ではそういうことはないのだろうが…

上映館の多さを考えると、今後のアニメコンテンツが映画化されるうえで今作の興行収入や経済効果が大きく参考にされると思うので頑張ってほしい所だ。