けいおん考 1

総合評論では、あんまり関係なさそうなことを結びつけたり、映画や音楽といった枠では収まりきらないものを評論します。


第1回はアニメ音楽ブームを巻き起こした「けいおん!」について





けいおんというのは現代のサザエさんであり、他愛ないこと・エピソードの集合だとも考えられる。無限ループには突入してはいないが。



だからこそ拙速した時代においてヒットした。いやこういったものは、時が流れているという現実が横たわっている限り、クオリティさえあれば常にヒットする可能性にさらされ続けている。




けいおんの中で音楽は一瞬の非日常なのだとわかる。演奏する。普通の女子高生が輝く。その時は全てが演奏に集約する。

アジカンがアルバム「マジックディスク」で叫んだこと「特に名前のないこの喜びを集めて 今ひとつ抑揚のない日々に魔法を仕掛けて 折れそうでも ほら僕は此所にいて 」という音楽の本質にも重なる。

だが真っ向から時代を背負う覚悟をしてきたアジカンは常に「自分探し」という束縛に縛られる。まさにそれが行き場を失った現代人だからだ。


一方でけいおんはまったく自分探しという陰の部分を強調しない。馬鹿でかい傷を背負っているヒーロー、ヒロイン像ではない。皆が経験する学生時代に起承転結なんてあるわけでもないから当然っちゃあ当然だ。





要は音楽は日常に溢れるもんだけど、非日常っていうラベルをつけたスパイスってことか。アジカンの詞を借りれば、CDもHDDもかんけーねぇと。


あらあら、結局当たり前のことしか言ってない?(笑)