懐かしくも新しいという、「挑戦」
- アーティスト: Mr.Children
- 出版社/メーカー: TOY'S FACTORY
- 発売日: 2010/12/01
- メディア: CD
- 購入: 26人 クリック: 555回
- この商品を含むブログ (161件) を見る
言わずと知れた、日本音楽界のその名を刻むバンドMr.Children。
今回が16thアルバム。
今まで数々の名曲、アルバムをリリースしてきた彼ら。
しかし、Mr.Childrenにとってシングル曲が1曲も入らないアルバムはこれが初めてだ。
しかも発売直前まで、収録曲はおろか、ジャケットイラストまで公開されていなかった。
某三田祭期間中も大きな看板が設置されていたが、その段階ではミスチルという文字と波打つ海だけ。アルバム名も鯨の写真はなかった。
本人達としては、なんの色も無いような状態での純粋なMr.Childrenで勝負したいという「挑戦」の一枚だろう。ここまでタイアップや事前情報のないミスチルなんてあっただろうか?
常に注目されるバンドであるが故に、そんな状況は作られ得なかったといってもおかしくない。
でも正直のこれは「戦略」として成功したと思う。
CMや映画主題歌で流れていた映画は入ってくるだろうという期待。
そして、未だ見ぬ楽曲への期待。
発売日二日目にタワレコで視聴していたが、まあ買われていくこと買われていくこと。
「すげー」というのが正直な感想。発売日にアルバムを視聴しにいくことはよくあるけど、こんなの初めて…
話をアルバムの内容に移すと、
今回のアルバムは最近のミスチルとは明らかに大きく違う。
音楽の楽しさが見えてくるような『SUPERMARKET FANTASY』とは全く違う場所にある。
どちらかといえば、暗さも明るさも同居する10thアルバム、IT'S A WONDERFUL WORLDに近いかも。
ジャケットのアートワークの海が、よくある綺麗な青さの海ではなく、暗さを併せ持つ深い蒼さの海であることもイメージの付与に大きい役割を果たしている。
正直に言うと、前回と似たようなアルバムなら買う気はなかった。
だが、ざっと通して聴いたところ、これは最近のものとは空気が違うなと。
で、購入と。
オススメは、
1,2,3,6,8,11
ミスチルのアルバムというと、いつもタイアップ中心に聴いてしまう自分だが、今回はタイアップよりも明らかにアルバム曲が洗練されていると感じた。
CM曲とワンピース映画テーマソングの、
5,9より、上記の曲がいい。
1、の「I」は、
アルバムののっけから、<もう いいでしょう? これで終わりにしよう>という出だしの衝撃の曲。普通は明るいナンバーとかアップテンポなナンバーを入れないか!?と
『シフクノオト』がはじまったかと思わされた。
しかも2番サビの歌詞で
<支持してくれるスポンサーに媚を売る「I」 挙句には「死にたい」とか言い出すんでしょう!?>
と。
「I」=自分。とんでもなく自分への皮肉に満ちた曲なのか。
疑問で始まり、疑問で終わるアルバムのオープニングナンバー。
2.個人的に一番のオススメ。
アルバムのリードナンバーで、ジャケット海のイメージはここからだろう。
一種の海の爽やかさを併せ持つ音楽だが、
歌詞には空しさがにじみ出る。綺麗で悲しい曲だ。
ラストのサビ
<出鱈目を 誠実を 全て自分のもんに出来たなら もっと強くなれるのに。。。 現在を越えて行けるのに。。。>
擬態して生きている自分に対して疑問を投げかける。
1.と同じ流れだが、1.のように疑問系ではなく、答えを自ら理解していながら到達出来ないという一段階進んだところに、自らの精神状態があるというところが違う。
3.は「シーソーゲーム」やら「エソラ」みたいな明るめのアップテンポナンバー。
とりあえず懐かしいミスチルだなーみたいな。
でも最近の傾向だけど、小林武史がけっこう目立ってないか?
6.は「ニシエヒガシエ」、「フェイク」みたいなテクニカルで、雰囲気がダークなナンバー。
「ロックンロール」というだけあって、一番アルバムでロックバンドらしい感じ。
最近「ロックンロール」ってタイトル名につくと弱い自分がいる(笑
8.も11.も懐かしい。
8.の深く深く沈むようなイメージは『深海』や『シフクノオト』だし、
11.はベストアルバムに入っていても違和感が無いような、
初期のイメージを持った上昇気流に乗るような曲に仕上がった。
ーーーーーーーー
1. I
2. 擬態
3. HOWL
4. I'm talking about Lovin'
5. 365日
6. ロックンロールは生きている
7. ロザリータ
8. 蒼
9. fanfare
10. ハル
11. Prelude
12. Forever