言いたいことはなくなった/The mirraz

全てを出し尽くすほどに、鮮明になった愛

言いたいことはなくなった (初回生産限定盤)

言いたいことはなくなった (初回生産限定盤)





The mirrazは2011年に4人組のバンドになった。
そしてミラーズではなく、ミイラズだ。


Vo.畠山は、サウンドアークティックモンキーズのパクリであることを公言していた。
なるほどエッジのきいたギターのリフは、確かにアークティックモンキーズのそれだ。







だが、彼らの真骨頂はそのサウンドに組み合わせる歌詞にある。
超シニカル、超ニヒリズム。今の世界への不満と自虐。そしてものっそい字余り。

まるでヒップホップのようなロック。つぶやくように唄う。
それらの要素が組み合わさって、こちらの脳に突き刺さってくる。

それがMirrazの音楽だ。
いや、だったというのが正しいのかもしれない。






そのパクリと毒を帯びた特徴は、3rdアルバムや前作4thアルバムで徐々に薄まっていった。
そして今作5枚目のアルバムでさらに彼らは変化した。


ちなみに3rdアルバムのレビューはコチラ↓
http://d.hatena.ne.jp/chairmanzx/20101106/1289064685

























前作のレビューから比較すると、
3rdアルバムでは透けて見えていた「愛」が、より顕在化してきたということだ。


さらに歌詞も音楽もよりシンプルなものへと変化している。
「愛」というシンプルなものがテーマになることによって、
ストレートなロックをしていきたいという方向性が顕著になった形だろう。















昨年のシングル「ラストナンバー」リリース後のライブで、Vo.畠山が言っていたことだが、
言葉数を少なくし、音楽をよりシンプルにすると語っていた。


実際、これまでと比べるとアルバムのリード曲「i want u」など言葉の間が長い曲が多い。
「ラストナンバー」も歌詞の多さは相変わらずにしても、
ストレートなライブ映えする疾走系ロックとしてシンプルさをうちだしていた。




「愛」をシンプルにうちだすことによって、確信犯的に震災を無視した格好になった。
いや、無視したというよりも純粋にロックを楽しませるというスタンスが明確になったというべきだ。

日常に残る「愛」を唄うことによって楽しめる。
初期のアルバムにあるダークさではなく、明るさへとシフトしている音楽。






















だがこのアルバムはそこを一番としている節があるだけに、
初期のミイラズファンには受け入れがたい側面があるのではないのかなとも思う。








個人的には3rdの毒々しさと透けて見える愛がある方向性の方が好きではある。
そっちのほうが「ハッピーアイスクリーム」のような「愛」が際立つし。

が、同時に腰を落ち着けすぎて凝り固まってしまう音楽は次第に面白さそのものを失っていくので、
変化は変化で受け入れたいところだ。





















オススメ曲は、
2,4,7,10















2.「ラストナンバー」は、前述している通りストレートなロックナンバー。

古参ファンにとっては違和感のある曲ではあるが、
ひたすら怒涛のリリックに乗せて「愛」を歌うさまは、間違いなくミイラズ。

またライブでの盛り上がりももちろん一級品だ。


ラストナンバー↓
http://www.youtube.com/watch?v=W7Kfli9c7lU












本アルバムのハイライトであろう、4.「i want u」。

これまでになくサビが意識され、ギターの音色もロマンチックさを意識している。
よりスローに演奏できそうなナンバーであるため、ライブの締めにぴったりだろう。

サビに客に合いの手を入れさせるというポイントもあるので、まさにライブにぴったりの楽曲。



i want u ↓
http://www.youtube.com/watch?v=_o2CuQ5wXMo








7.「観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは」は、割とこれまでのミイラズらしさが見えるナンバー。
すごく短い。「ラストナンバー」も短いけど。歌詞もっとプリーズ。

観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは ↓
http://www.youtube.com/watch?v=G_6CitFH8YA










10.「言いたいことはなくなった」は、アルバムタイトルにもなっている。

このアルバムタイトルが発表されたときは、ついに尽きてしまったのか?と目を疑ったリスナーも多かったはず。
曲を聴けば分かるが、ネタが尽きた、という意味ではなく、
言うべきことがなくなるほど愛しているという意味だ。


ミイラズの中では好きなノリだが、歌詞が少し物足りないのも事実か。















突出した傑作ではないが、ミイラズの変化を追うという意味においては非常に重要な意味を持つであろうこのアルバム。


「言いたいことはなくなった」ミイラズが次にどんな音楽をうちだすのか、
○○のパクリで〜、という語り口調で語る必要もなくなりつつあるミイラズがどうなるのか、
気になるところだ。

このアルバムを超えて、愛も毒も怒涛の勢いで叫ぶミイラズがみたい。


ーーーーーーーーー

1. Rock Steady!

2. ラストナンバー(Album ver)

3. だからボクのそばにいて

4. i want u

5. 朝、目が覚めたら

6. この世でDANCE!

7. 観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは(Album ver)

8. oh!baby!

9. 最後に笑うのは誰?

10. 言いたいことはなくなった