スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜


大統領を目指して民主党の予備選に出馬したモリス州知事ジョージ・クルーニー)。
モリスを支えているのは、キャンペーンマネージャーのポール(フィリップ・シーモア・ホフマン)と若く才能あふれる広報官スティーヴン(ライアン・ゴズリング)。

しかし絶好調なスティーヴンに、敵対する陣営の誘いや女性スタッフとの恋愛などからほころびが生まれていく…


観賞日
2012年4月6日


【75点】




ジョージ・クルーニー監督、出演作品。



政治という何とも堅苦しそうなテーマだが、
さまざまな黒い思惑が渦巻く様相を描くことである種のサスペンス感を出していて観やすい。




政治だけに、頭が切れる連中だけに、決して暴力に訴えることはしない。
静かに互いをけん制しあい、まるで一触即発かのような雰囲気には息をのむ。

単純に批判するような内容にするのではなく、スリリングな心理を描いた作品として昇華しているのは見事。










やはりその心理戦に添えられるのが素晴らしい役者陣の演技で、この演技あってこその本作だ。
誰が何を考えているか、わからない。
彼らの表情もこの映画のポイントで、とくに後半は序盤観ていた彼らの表情の裏にはこんな意図があったのか、と思わせられる。
やはり何を考えているかわからない人間は恐ろしい。







政治のゲームを制する者はどういう者か、最後のスティーヴンの表情がすべてを物語る。
ズーンと来るものがあるが、「正義」というあいまいなものをすっぱり切っている点にはある意味すがすがしささえ感じられる。
政略こそが勝利への近道だとでもいわんばかりの今作の突きつけ方は、
それが正しいとも間違っているとも言わず、観客にドンと突きつけて判断をゆだねているのだろう。




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